平成23年(2011年)3月11日午後2時46分。東日本大震災の発生。当時私は、宮城県警察本部長として、執務室におりました。「これは大変な地震だ」と思い、災害警備本部の立上げ、広域緊急援助隊の派遣に関する警察庁への要請等について指示しました。
災害警備本部室に行ったのは、午後3時前後。午後3時32分には県庁で第1回災害対策本部会議が始まり、村井知事が「人命救助を最優先で」と指示しました。その時の会議は、まだ十分な情報収集もできておらず、皆でニュース映像を見ながら、言葉もない状態でした。
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12年前の出来事ですが、各場面の情景が、今なおフラッシュバックのようによみがえります。
それから半年以上、宮城県警は、ほぼ災害警備一色の異常なオペレーションを実施・経験したのです。
あの当時、我々は、組織一丸となって、最善を尽くしたつもりでした。しかし、後から思えば、ああすべきだった、こうできたかもしれない。このような悔恨に近い思いをいまだに拭い去ることができません。
そのこともあって、2015年に退官した後、「警察謝恩伝道士」と名乗り、あの時痛感した苦い教訓事項を各地の警察の後輩にお伝えしてまいりました。あの時のご支援に対する感謝の思いを込めて。
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東日本大震災後の12年余り、政府をはじめとする関係機関の災害対策は、格段に進歩しました。警察災害派遣隊の設置をはじめ、災害に係る警察の危機管理体制も大幅に見直されました。防災基本計画や各自治体の地域防災計画も、毎年発生する各種災害を受け、加筆・修正を積み重ねています。
その一方で、災害発生時における警察と自治体の連携は、まだ十分とはいえない面も見られます。例えば、自治体の役割とされる遺体安置所の設置・運営や、行方不明者情報の収集・公表等は、警察が行う捜索、検視・身元確認等の業務と極めて密接な関連があり、12年前の宮城県警は、本来、市町村がやるべきところも含め、先回りして、試行錯誤で実施しました。行方不明者相談ダイヤルの開設、遺体安置所における被災者対応、安否不明者リストの公開、行方不明者個人情報の自治体提供等が、その一例ですが、無我夢中でやりすぎるぐらいにやっていく過程で、警察庁から「いくらなんでもそれは県警の仕事の外でしょう」と言われる事態になってしまいました。
10万人単位の人的被害が見込まれる南海トラフ巨大地震や日本海溝・千島海溝沿い巨大地震の発生時に、同様の事態が生じないと言えるでしょうか。東日本大震災時のような混乱を避けるためには、当時を経験した警察OB等の関係者の知見をもっと活用すべきではないでしょうか。このほか、大規模・長期の応援部隊派遣を受け入れる際のロジ機能(宿泊や飲食物の手配等)も、多忙な現役警察職員に対して、経験豊富な警察OB等がもっと支援できる領域と考えています。
警察OB等の民間有志の中には、このような現状を憂い、災害時の警察活動及びこれに関連して様々な主体が行う災害対処活動に対し、「共助」の視点で貢献したいと願う者も多いところであり、まさに、そういう同志が今回結集し、「災害時警友活動支援ネットワーク」というNPO法人を設立するに至ったのです。
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我々は、今の各種災害対策の中で、検討・準備が不十分かもしれない分野を見出し、そこに警察OB等の「警友」の知識・経験を投入して、我が国の災害対策水準の更なる向上に貢献したいという野望を抱いています。本年、令和5年(2023年)は、関東大震災100年、日本海中部地震40年、北海道南西沖地震30年の節目に当たります。我々の活動をスタートさせるに当たり、これ以上の年はありません。
皆様、ぜひ我々にお力をお貸しください!共に災害対策の新展開を目指しましょう!被災者のために!
令和5年(2023年)7月
NPO法人災害時警友活動支援ネットワーク代表理事
竹内 直人
代表理事 竹内 直人
理事 荻野 徹
理事 櫻澤 健一
監事 池田 克彦
顧問 金髙 雅仁
・令和5年6月2日(金) 設立総会
・令和5年9月4日(月) 第1回理事会
・令和5年9月5日(火) NPO法人設立認証
・令和5年9月13日(水) NPO法人設立登記
・令和5年11月27日(月) 設立記念講演会(京橋プラザ区民館)
・令和5年12月18日(月) 第2回理事会
・令和6年3月1日(金) 代表理事所感 東日本大震災について改めて思うこと~13回目の3.11を迎えるに当たって~
・令和6年4月9日(火) 令和6年度第1回理事会
・令和6年4月15日(月) 令和6年度通常総会
・令和6年7月1日(月) 令和6年度第2回理事会
・令和6年11月5日(火) 令和6年度第3回理事会